論文をグラフで可視化するツール③Connected Papers

インプット

今回は論文同士の関係性をグラフで可視化するツール「Connected Papers」をご紹介します。グラフ化ツールとしてはこれまで紹介したツールに比べて結構調べて出てくる頻度が高いですが、個人的には有料であったり、出てくる情報量がシンプルすぎるので実はそこまで使っていません、、、。

ですが、比較すべきメジャーなグラフ化ツールの一つとして、今回はその基本機能と使い方について解説していきます。

なお、これまでに紹介した論文の関係性をグラフ化するツールは以下の二つです。ぜひ参考にみてみてください。

また、毎度のことながら使用方法、感想等をYouTubeでまとめています。ぜひこちらもどうぞ。

Connected Papersとは?

Connected Papersは、各論文における引用と被引用の共通性をもとに、論文同士の類似性をグラフ化するツールです。単一または複数の論文を入力することで、類似した論文を可視化し、関係性を簡単に把握することができます。さらに、関連する論文リストの表示や、ダウンロードリンクも提供されています。

このツールは基本的に有料で、月に5回までグラフ作成が可能な無料プランもあります。なお、グラフの生成にはSemantic Scholarのデータベースが使用されており、該当論文のリンクやPDFへの直接リンクも簡単にアクセスできます。

Connected Papersの使い方

1. 論文の検索

まず、Connected Papersのメイン画面でタイトルやDOIを使って目的の論文を検索します。現在のところ、Zoteroなどとの連携機能はないため、直接検索して論文を追加する形になります。

2. グラフの生成

検索結果から選択した論文をもとに、関係性を示すグラフが生成されます。このグラフでは、引用関係が線で結ばれており、ノードの大きさは被引用数、色の濃さは出版年を表しています。この辺はIncitefulと一緒ですね。

異なる点としてはより引用・被引用の共通性が多い論文が近くに配置されているということで、配置にも意味があるため、グラフのノードをドラッグして動かすことはできないという点です。ただしズームやグラフのビューは自由に変えられますので、特に困ることはありません。

3. 左側パネルと詳細表示

左側のパネルには、関連する論文がリスト形式で表示され、各ノードもしくはリストをクリックすると右側に詳細情報が表示されます。

右側のパネルではアブストラクトもしくはTL;DR(Too long, didn't readというスラングで知られるごく簡単な要約)やジャーナル情報、論文へのリンクなどが表示されます。また、paperpileと連携しており、ワンタッチでpaperpileでの保存を行うことができます。それ以外にもアカウント内での保存管理も可能です。

4. リスト表示とフィルター機能

上部の「List view」ボタンをクリックすると、ここまでみてきた類似性の高い関連論文をリスト形式で詳細に表示できます。ここでは、引用数や類似性スコアなどが確認でき、並び替えが可能です。

さらに、同様に上部にあるフィルターというボタンをクリックするとキーワード、PDFの有無やオープンアクセス、出版年などで検索結果を絞り込むこともできます。検索結果に合わせてグラフがリアルタイムで変わるので楽しいです笑

Prior WorksとDerivative Works

Connected Papersには、選択した論文に影響を与えた過去の論文(Prior Works)や、逆にその論文が影響を与えた後続の研究(Derivative Works)をリストで表示する機能もあります。これにより、研究テーマの背景や影響範囲を簡単に確認でき、研究の深掘りが可能です。

その他の機能

上部のツールバーには「More」というオプションがあり、グラフのシェアや文献リストの出力などができます。また、右上のアカウント名から現在のグラフ作成回数を確認したり、過去に生成したグラフの履歴もチェック可能です。履歴からの確認なら、無料版でも回数を消費せずに表示できるので(おそらく同じ月の間であれば)、覚えておくと便利です。

Connected Papersの総評

Connected Papersは、類似性の高い文献を効率的に抽出し、グラフ形式で視覚化することで、研究の方向性をより明確にできます。これまでのツールよりもシンプルな分、使い方には迷わないかもしれません。先行研究や後続研究を素早く洗い出すのも便利です。ただし、無料版の利用回数には限りがあり、とても5回程度では十分に使えないので、本格的に使いたい場合は年間契約(月約725円)の有料版を検討してもよいかもしれません。

次回は、これまで紹介したグラフ化ツールを比較し、それぞれの違いを総まとめしたいと思います。出てくる文献数の違いなども比較検討してみたいと思いますのでぜひまた更新できたらご覧ください。

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