今回の記事では2024年に新たに登場した文献検索ツール「felo」をご紹介します。以下のページからアクセスできます。
これまでも文献検索ツールについてはいくつも紹介してきました。
ですが、このツールはなんと日本発のサービスで、日本語での検索・検索結果の提示機能に特化しており、特に英語を読むのが苦手な方には非常に魅力的な機能を持っています。
主な使用方法はPerplexityとかなり似通ってますので、使い方についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
また、ツールの使用については毎度のごとくYouTubeで動画にもしています。合わせてぜひご覧ください。
feloとは?
feloは2024年から提供が始まった日本発の文献検索ツールです。これまで紹介してきた「Perplexity」と似た操作感を持ちながら、いくつかのユニークな特徴があります。
- 日本語検索の強み
日本発というところで日本語に特化しており、検索結果のほとんどが日本語で提供されます。英語文献が日本語に翻訳されて表示される点は、毎度手作業で翻訳していたような方には大きなメリットになると思います。 - 幅広い情報源
ウェブ、SNS、論文検索、Reddit、X(旧Twitter)、中国のSNS「小紅書(シャオホンシュー)」など、さまざまなプラットフォームから情報を収集できます。同様の機能は他の文献検索ツールでもあると思いますが、Xなど日本で比較的影響力の大きいメディアに着目できるのはやはり日本発ならではの視点ではないでしょうか。
- ログイン不要で基本機能が無料で利用可能
この辺りはほぼPerplexityに準拠していますが、手軽に試すことができますので、ユーザーに優しい設計と言えます。
実際の使用感
feloの操作画面はシンプルで直感的です。 今回は過去の文献検索ツールと同様の質問として「脳梗塞急性期治療におけるヘパリンの有効性は?」と検索してみました。
ウェブ検索
ウェブ検索では医療者向けの記事を中心に、二次文献あるいは三次~四次文献が検索され、より実践的な情報が提供されている印象です。検索されたソースはそれぞれリンクへ飛ぶことも可能となっています。
提示される記事はPerplexityとも似ていますが、ソースの数はこちらの方が多い印象でした。結果の内容としては四次文献も多く含むためか臨床医学については医師である私からみても実際に基づいた回答になっていると思います。ただし、毎度述べていますが、間違いを含む可能性や意見が偏っている可能性は大いにあるため、決してこの検索結果を現場であてにしてはいけないと思います。
論文検索
ソース数がさらに増え、より専門的な情報が得られます。論文など英語の一次文献も多く検索されますが、すべて結果は日本語に自動翻訳されている点が気が利いています。リンク先はSemantic Scholarであることが多いので、おそらくこちらのデータベースを検索しているのでしょう。
ちなみにソースの画面から翻訳前の原文を表示に切り替えることもできます。
内容としてはウェブ検索からさらに踏み込んだ内容となっており、例えば日本の脳卒中ガイドラインに基づいた詳細情報が提示されるなど、臨床試験の名前や内容が出るなどより専門的で洗練された内容となっています。ただし、こちらも文献について網羅的とは言えないので、あくまで大局(と思われるもの)を知るために使うのが良いと思います。
そのほかのユニークな機能
feloはこれまでのPerplexityに似た機能以外にも面白い出力方法がいくつかあります。ユーザー登録しないと使えないところもありますが、無料で登録はできるので是非試してみるといいと思います。
1. マインドマップ機能
検索結果を視覚的に整理してくれるマインドマップ生成ツールが搭載されています。情報を簡単にまとめたり、別の資料に活用したりする際に役立ちます。
ちなみに、このカラフルなマインドマップはMarkmapと呼ばれるjavascriptでマークダウン記法から生成されたものだと思いますので、マークダウン記法ができる人であればVScodeなど他のツールを合わせて使うことで簡単に作ることができます。自分で試してみたい方は以下のMarkmapの公式サイトをみながらやってみてもいいかもしれません(※英語です)。
また、ここで使われるマークダウン記法については以下の動画で以前に解説しています。
2. プレゼンテーション作成機能
こちらは検索した内容を基に、自動的にパワーポイントスライドを作成する機能です。これは明らかに有料級の機能ですので、現在は期間限定無料となっていますが、今後は有料となるのではないでしょうか。流れは以下のようになっています。
- 内容をアウトライン形式で整理
- テンプレートを選択
- 自動的にスライドを生成
ここはぜひ冒頭の動画でノーカットで載せていますのでみていただきたいのですが、作成もかなり早いです。また、テンプレートの選択肢が豊富で、ブラウザ上で簡易編集までできるようになっています。個人的には基本的にパワポ自動作成のツールでは意図した通りには完ぺきにできず、むしろ内容をツールの仕様に合わせないといけなくなるため、全く使わないのですが、細かい修正が不要なざっくりしたスライドを作りたい場面では、資料作成の手間を大幅に削減できるかもしれません。
まとめ
feloは、使い勝手が良いだけでなく、日本語に特化した文献検索ツールとしてユニークな位置付けにあります。特徴をまとめると以下のようになります。
- 日本発の総合検索ツール
- 英語が苦手な方が文献情報を効率的に得たいときにおすすめ
- 資料作成やアイデア整理などのユニークな機能がある
現在はプレゼンテーション機能を無料で試すことができるため、この機会にぜひ触れてみてください。 これまで調べてきた文献検索ツールと同様にまた今後の動向を追っていきたいと思います。
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