今回は関連論文を視覚的に探せるツール「Inciteful」を紹介します。
前回ご紹介した「Research Rabbit」と同様に、Incitefulも無料で利用でき、登録不要ですぐにウェブ上で使える便利なツールです。
気になる論文から関連する論文を視覚的に探し、かつリスト化する機能にも優れていますのでResearch Rabbitとは少し異なる使い方ができます。
同じく関連論文を探せる高機能なツールResearch Rabbitを紹介した前回記事はこちらとなっています。
例によって動画での紹介も行っていますので是非見てみてください。
Incitefulの基本機能
グラフを見る
Incitefulは、単一の論文から関連論文を見つけるのに優れており、Research Rabbitとは異なる形で活用できます。まず、Incitefulのページにアクセスしましょう。ページのURLはこちらです。
Inciteful(https://inciteful.xyz/)
トップページ上部にある入力欄に論文のタイトルやDOIを入力することで、利用を開始できます。
検索結果には、引用元や引用先、出版年、オープンアクセスの有無、グラフ内の論文数などの基本情報が表示されます。
類似した論文がグラフとして表示され、今検索している論文が中央に光っている状態で視覚的に確認できます。グラフ内の点(ノード)の色が新しい論文か古い論文かを示しており、円の大きさが論文の被引用数を表しています。また、ノード間の線は引用関係を示しており、影響力の大きな論文を簡単に把握できるのが特徴です。
リスト表示で効率よく文献を探す
Incitefulでは、画面下部に関連論文がリスト表示されます。例えば、「Similar Papers」には類似論文が、「Most Important Papers」には重要性が高い論文が表示され、「Review Papers」には重要なレビュー論文が並びます。これらのリストは、引用数やページランクというアルゴリズムで評価されており、出版年や被引用数などで並べ替えることも可能です。
特に、先行研究の初期段階で、重要なレビュー論文や関連性の高い研究を一気に見つけたい場合に非常に便利です。また、トップ著者や研究機関、トップジャーナルなど、さまざまな切り口でのリストも表示されるので、より広範囲にわたる文献調査が可能です。
論文のフィルタリングとグラフの調整
さらに、Incitefulでは、結果ページの上部にあるキーワードや年代、検索中の論文との引用関係の距離などでフィルタリングを行い、グラフを調整することができます。
また、気になる論文を見つけた場合は、プラスボタンを押してグラフに追加することが可能です(下図:論文の横にあるボタンです。これを押した後、右側に出てくるadd papersというところをクリックすると追加後のグラフが見られます)。公式では5つ以上の論文を追加することが推奨されています。
これにより、グラフやリストがリアルタイムで更新されるので、複数の論文から関連する分野の論文をさらに深掘りすることができます。
論文間の関係性を探る機能
Incitefulには、二つの論文の関係性を探る機能もあります。これは、ある論文と別の論文を入力し、その間に入る関連論文を抽出し、グラフ化するものです。個人的にはあまり使っていない機能ですが、研究の重要な論文間の関係性を探る際に役立つ可能性があります。
おまけ:Zoteroプラグイン
ちなみに、Incitefulには、Zoteroから直接グラフページにアクセスできるプラグインが提供されています。動画中ではZotero 6でのみ対応と述べていしまいましたが、最新のZotero 7にも対応しているようです。詳しい使い方は、公式のGitHubページで確認できます。リンクは以下です。
他のプラグインと同様の手順で使用できるので、もし分からない方は別のプラグインの使い方を解説した以下のページを参考にしてください。Zotero6ではアドオン、Zotero7ではプラグインと呼ばれていますが基本的には同じです。xpiファイルというのを取り込めば動作するようになっています。
まとめ
Incitefulは、無料で登録不要のウェブツールであり、引用関係やページランクに基づいて論文の重要性を判断し、グラフやリストとして表示します。単一の論文からでもさまざまな切り口で関連論文を探索できるため、先行研究の調査を効率的に進めることができます。
Incitefulを使って、ぜひ効率的に関連論文調査を進めてみてください。
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