今回の記事では、関連する論文をグラフ化して効率的に探すためのツール「Research Rabbit」をご紹介します。
論文を調べる際、まずはキーワード検索を使って関連論文をいくつか見つけることが多いですよね。しかし、検索を続けていると、すでに見た論文ばかりがヒットしてしまったり、なかなか新しい論文が見つからず行き詰まってしまうことがあります。こうした時に役立つのが、キーワードに頼らず、論文同士の関連性をたどって新しい論文を見つける方法です。
その際に便利なのが、論文同士の関係をグラフ化して俯瞰できるウェブツール「Research Rabbit」です。
今回も動画で使い方解説をしておりますので、良ければこちらもご覧ください(そしてチャンネル登録していただけるとなお嬉しいです)。
Research Rabbitとは
Research Rabbitは研究者を支援するプラットフォームで最新の論文やコレクションの共有などを通じて、文献のレビューや共同研究の発展などを促進することを目的に作られたツールです。
基本的にアカウント登録をすれば無料で使えますし、無料で使えることで研究者を支援することをモットーとしていますので課金される方針はありません。
公式サイトはこちらになります。
また、今回の動画では大まかな使い方しか解説していませんので細かい設定について知りたい方はこちらのヘルプページFAQが参考になります。
このヘルプページを参照するとこれまでに紹介してきたAIの文献検索ツールと同様に、検索して出てくる文献は学術データベース(Scopus, Web of Science)などから抽出されているようです。
また、Google scholarはサードパーティからのアクセスを許可しておらず取り込まれていないことが示されています。
なお、AI文献検索ツールについてはこちらにまとめているので良ければご覧ください。
Research Rabbitの基本操作
メイン画面の概要
まずResearch Rabbitを開くと、左側に「コレクション」と呼ばれる、論文を集めたフォルダのようなものが表示されます。これらのコレクションは、カテゴリごとに分類でき、Similar workというボタンを押すと関連論文をグラフ形式で視覚化してくれます。
各ノード(点)が論文を表しており、著者名や発表年が表示されます。矢印は引用や被引用の関係を示し、研究の発展やつながりを簡単に確認できます。
コレクションは個々の論文を調べて登録するか、もしくは後述するようにZoteroと連携することでZoteroのコレクションをそのまま取り込むことができます。
タイムライン表示で論文の流れを追う
「グラフタイプ Graph type」を「タイムライン Timeline」に切り替えると、論文が時系列で整理されます。これにより、研究の進展や発展の過程を一目で把握できるので、特に研究分野の歴史や進行状況を調べる際に便利です。
キーワードフィルターの活用
Research Rabbitでは、関連性の高い論文が非常に多く表示されることが多いため、キーワードフィルターを使って絞り込むのがオススメです。自分が見たい関連性のある論文をみることができます。
残念ながらジャーナルや論文の種類(review, research articleなど)を絞り込むことはできないので、フィルターの種類があまりないことは難点かと思います。
Research Rabbitの便利な機能
Similar work以外にも関連する論文をグラフ化して絞り込む機能はいくつかあります。
Earlier WorkとLater Work
引用関係に基づいて、以前の研究(Earlier Work)や後の研究(Later Work)を確認できます。特に最新の展開を知りたい場合は、Later Workを活用すると便利です。
公式FAQによるとこれらはSimilar workとは被らないようになっているようなので、それぞれ眺めてみるのがよいかもしれません。
Similar workと比べると出てくる論文数も少ないのでチェックはしやすいと思います。
著者ごとの分析
コレクション内の論文の著者ごとに、引用数や関連性の強さを確認することも可能です。例えば、特定の著者が多くの引用を集めている場合、その著者の論文を洗っていくことも大事でしょう。専門家が少ない場合、今後そのテーマで論文を書くときには査読者になる可能性も十分あるのではないでしょうか。
Zoteroとの連携
また、Research Rabbitの大きな魅力の一つは、文献管理ツール「Zotero」との強力な連携機能です。ZoteroのコレクションをResearch Rabbitに簡単にインポートでき、Zoteroで新しく追加した論文もワンクリックで同期可能です。この機能により、文献管理が非常に楽になります。
動画では既に連携済みでしたが、「Connect to Zotero」ボタンを押すことでZoteroとの連携を行うことができます。
論文管理ソフトZoteroについてまだ知らない方はこちらをぜひ参考にしてみてください。
まとめ
Research Rabbitは、関連性のある論文を探し出すのに非常に役立つツールです。キーワード検索では見つけにくい論文や、研究の時系列を整理したいときに特に有効です。また、Zoteroとの連携が優れているため、Zoteroユーザーであれば面倒なコレクションの管理もめちゃくちゃ簡単に行えます。
論文探索に行き詰まったときはぜひResearch Rabbitを活用してみてください!
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